普段は全然人の姿も見えない田舎なのに、祭りとなるとそれなりに集まってくるもんだ、などと感心しながら、待ち合わせ場所でぼんやりと紫を待つ。

神社のどこからか聞こえてくる祭囃子の音には、やはり心が浮かれる。

いくつになっても祭りは楽しいもんだ。


「お待たせ!」


後ろから声が聞こえて振り返ると、そこには見慣れぬ格好をした紫がいた。


「おお、浴衣じゃん」


「似合う?」


薄い水色の生地に朝顔が描かれた浴衣は、涼しげな雰囲気の紫によく似合っていた。

紫はくるりとその場で回ってみせて、無邪気に笑いかけてくる。