「陸上部かよ……!」


早い、速い、おいおいそこらの陸上部なんかよりよっぽど速いんじゃないのかどうなってんだあの足!


「ほらほらどーしたの、こっちだよ?」


しかも息切れしてない。余裕の笑顔。

どんな体力してやがるんだ、こちとら汗だくだっつーのに。

全力なのにまるで追いつけない、いやむしろ、追いつかせないギリギリの速度を向こうが維持しているように見える。

ナメられてる、かんっぜんにナメられてる。


「ちっくしょ……!」


だからって簡単に諦めてられるかっての。

俺は自分の方が年長者であるというプライドもかなぐり捨てて腕を大振りに切り替え、がむしゃらに足を動かす。

なんだって俺がこんな目に。

あいつも俺に一体何の恨みがあるんだっての。

これだから子供は苦手だ。