座敷わらしの恋

しかし、あの少年は物怖じせずに一歩前に出ると、「何ですか?」と尋ねてきた。

おー、利発そうな子だ。正直助かる。

ほっと安心しながらも、俺はえーと、なんて言葉を繋げる。


「あのさ、紫って女の子、分かる?」


尋ねると、少年は無言で頷いた。

よし、ようやく手掛かりゲット。


「ちょっと今探してんだけど……あいつんち、知らない?」


少年は少し考えた後、首を横に振った。


「僕もあの子がどこに住んでるのか、知らないんです」


なんだよ、知らないのか。

掴んだ藁が、するりとすり抜けてあっという間に流れていってしまった気分。

俺カナヅチなのに。

そんなどうでもいいことはさておき、手掛かりがなくなってしまった。

また歩き回るしかないか……やれやれ。