座敷わらしの恋

夏休みのたびに里帰りすることは別に珍しくもなんともない。

実際俺も子供の頃はそうだったわけで、ありえない話じゃない。

それなら、あいつがこの辺で友達がいないのにも納得がいく。

つっても、それにしちゃこの辺に詳しすぎだけど。

うーん、つくづく謎だ。


おばちゃんに礼を言って店を出る。

ラムネのフタを、今度は零れないように開けてみせた。


「おらどうだ、俺だってやればできるんだよ」


呟いてみたが、自慢する相手はそこにはいない。虚しい。

やれやれ、と俺はベンチに座ってラムネに口をつけ、さてこれからどうしようかなと考える。

闇雲に探していても見つかるはずないし。うーん。