座敷わらしの恋

「おばちゃん、このくらいの背の、髪の長い女の子こなかった?」


「いいや、今日のお客さんはあんたが最初だけど」


おいおい、よく営業できてんな。

ほとんど趣味でやってるもんなのかもしれん。


「そっか。じゃあどの辺に住んでるかって知らないっすか、紫って言うんだけど」


「あー……知らないね。この辺の子かい?」


「だと思うけど」


そうか、あいつが俺と同じく、どこからかの来訪者という可能性をすっかり忘れていた。