さすが体力の塊。

すぐに追いかけたつもりが、もう紫の姿はどこにも見えなかった。

自分の家に戻っているだろうか、って俺あいつんち知らないし。

ひとまず、あいつの行きそうな場所を探すべきか。


あいつの姿がないか、周囲を見回しながらとぼとぼと歩き、初日に向かった神社に到着する。

林の中に建っているだけあって、セミの声がもはや大合唱状態だ。


「おーい!」


セミに負けじと俺も声を張り上げるが、手ごたえはなし。

この前のように木に登っていないかとあちらこちらの木を見上げて回るが、どこにもあいつの姿はなかった。


ここじゃない、か。


正直、一番いそうな気がしたんだけど。