「ああ!将吾!目が覚めたのね!」 母さんの声がした。 「先生を呼んでくる!」 父さんがそう言って、スリッパをパタパタ鳴らして走っていく音がした。 ぼんやりした視界がハッキリしていく。 母さんの顔がハッキリ見えた。 そして彼女の顔も。 「……母さん。……結花(ゆいか)。」 「ショウちゃん!」 結花は俺の手を、小さな手で包むように握っていた。 「よかった…よかった…!ショウちゃんが起きた…!」 涙が手に落ちる感覚がわかった。 感覚のある涙だ…。