じゃあどうするか?
利二の言ったとおり、補えば良いんだよ。
修復できない部分は、また作り直せば良い。
どういう身の上にいるのか重々に理解と覚悟を決めて、さ。
「俺は荒川庸一の舎弟だ。いつかが来たら、真っ先に舎兄を支える。チームを優先して、俺はまたお前を傷付けるかもしれない。覚悟はしている。でもその時は、その時。そうだろ?」
「絶交宣言のままの方がお互い、本当は良いんだろうけどな。こういうのって理屈じゃないよな」
「ああ、理屈じゃない」
「だよな。理屈で人生上手くいくなら、おれは今頃モテモテのイケメン男だろうし」
互いに視線を交わらせて一瞬の間、直後に砕けた笑みを浮かべる。
俺と健太は携帯を取り出した。
実は絶交宣言の時にアドレス消しちゃってさ、赤外線で送ってもらって良い? 実はおれもなんだよ。
そんな簡単なやり取りを交わして、俺達は赤外線でアドレスを交換し合った。
そして携帯を閉じると、俺達はまた視線を交わらせて目で笑う。
「そろそろ行かないと。皆でヤマトさんの見舞い品を買う予定なんだ」
「俺も行かないと。今日はゲーセンでドンチャンする予定」
またな、今度ゆっくり話そう。
話す時はチーム同士じゃなくて友達同士で。
対峙したあの日々も、話すことで笑い話にしよう。
長期休暇に入ったら一緒に遊ぼう。
軽く会話を交わして俺達は鉄道橋下の川のほとりを後にする。
これから各々居場所に向かうんだ。
俺はヨウ達、健太は日賀野達、それぞれの場所に戻る。
それでいいんだ。
チームが今の俺達にとって一番の居場所なんだから。
だけど健太との仲、これからも大事にしていきたい。
例えばこの先、今までのように傷付け合う日が来ても、やっぱり友達だと主張し続けたい。
綺麗事だけどさ、俺は健太をいつまでも友達だと思いたい。
きっとあいつもそう思ってくれている。
何も言わないけれど、アドレスを再交換し合ったんだ。それで十分じゃないか。
小っ恥ずかしいじゃん? 言葉に表すだけ、さ。
「圭太――!」
背を向けた健太から声を掛けられる。
振り返る前にあいつ、笑声を含みながらハッキリ言いやがった。
「おれ達の喧嘩はお前の勝ちだ! お前の諦めの悪さが、おれの考えを変えちまったんだからな!」
ばかやろう、努力をしたと言え。
すっげぇ努力したんだよ、
俺も、そして苦悶したお前も……じゃないと、こうやって仲直りするかよ。なあ? 俺達は二人で乗り越えたんだよ。
俺は振り返って健太に手を振った。
「じゃあな!」
サヨナラじゃなくて、今までありがとう、でもなくて、また会おうの意味合いを込めて強く手を振った。
そして、背中を向けてチャリに跨る。
向かうは行きつけのゲームセンター、大事な俺の居場所に急いで向かわないと。
皆が待っている。面子は不良ばかりだけど、俺にとって大事なだいじな居場所に行かないと――。
⇒Epilogue