俺達は再度その場に寝転がって夜空を見上げた。


相変わらず弱々しい発光を放っている星たち。



だけど俺達の目には一生忘れられない、星の瞬きだった。


鼻につく潮風を感じながら、俺達はただひたすら夜空を見つめる。


ふと俺はヨウの顔を盗み見た。


達成感に浸っているヨウの横顔は一段とイケメン、だけど年齢相応の顔をしていた。


誰よりも仲間を守りたい、仇を取りたい、勝利を手にしたいと切望していた少年が今、こうして心満たされている。


それは不良の顔というより、まんま少年の顔だった。


イケメンを除いて、俺もきっとヨウと同じ顔をしている。




きっと、そう、きっとな。





だって俺達はどんなに人種が違おうとさ、日陰だの日向だの言ってもさ、同い年の同級生だもんな。


俺達は何一つ同じところのない、だけど何一つ違わない、フツーの高校一年の男子だ。


「泣きたいほど嬉しいことってあンだな」


聞こえてきた舎兄の吐露、ヨウの気持ちに俺は一笑。



「あるだろ。胸は貸すけど? 今なら無料で」


「ははっ、是非とも貸して貰いたいぜ」



大の字に寝転んだまま空一杯に笑い声を上げた。


びしょ濡れ舎兄弟の姿は今、傍から見たら誰よりも格好悪いナリをしているのだろうけれど、俺達の気持ちは夜空以上に濁りなく澄んでいる。




なあヨウ。

こんなにも気持ちが澄んでいるんだ。


明日からはさ、今までとは違う朝が来るよな?



⇒#10