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田山圭太、ズバッと見参して舎兄にプレス! ……される、少し前のこと。
無事にココロを助け出せた俺は健太をチャリの後ろに乗せてかっ飛ばし、急いで北D-7から東S-4倉庫に向かった。
目的地に到着したのは良かったんだけど、正面口では乱闘というより死闘が繰り広げられていたからびっくり仰天。
協定チームや仲間達がボカスカしていたわけですよ。
想像以上に乱闘……じゃね、死闘を繰り広げていたんですよ。
だってお互いがお互いに角材やら武器を持ってボカスカしているんだし? ちょ、怖くね? 実際目の当たりにしたら怖いって! 断言できる! ありゃ怖い!
人質奪還チームだったイカバは手腕と根性があるから、到着後すぐにタコ沢達に加担。
俺達に手腕があれば喜んで参戦するんだけど、残念な事に俺も健太もジミニャーノ人生が長かったもんだから、足手纏いにならないよう倉庫の中へ。
そこで何か出来ることはないかろ役割を探してたんだけど、倉庫内でも喧嘩が繰り広げられてたもんだから、さあ大変。危うく一階の喧嘩に巻き込まれそうになった。
しかも変に倉庫内が明るいから「何だろうなぁ……」と軽い気持ちで二階を見上げてみたら、オレンジ色の炎がメラメラ轟々。
喧嘩に火? 火の用心、喧嘩一つ火事のもと!
……なんて阿呆を思っている場合じゃなく、喧嘩に火?! おいマジかよ、火ってありえなくね?!
なんで炎が上がっているのかワケ分からなくて、いても立ってもいられず健太と二階へ上がった。
状況を確認しようと思ったんだ。
そしたら二階でもシズやワタルさん達が喧嘩をしていて、丁度俺達が二階に上がったと同着に人質の帆奈美さんが二階フロア最奥から逃げて来た。
良かった、人質だった彼女も無事に解放されたんだ。
胸を撫で下ろした俺達だったんだけど、帆奈美さんは矢継ぎ早に喋り日賀野が怪我したことを教えてくれた。
「頭から血を流している……」
クッと顔を顰める彼女は日賀野が重傷だと説明。
それも自分を庇って重傷を負ってしまったのだと自責した。
今、ヨウが彼を庇いながら五十嵐に挑んでいるらしいけれど、早く病院に連れて行かいと彼が危ない。
「ヨウに言われて……此処に来た。誰か、ヤマトを運んであげて!」
帆奈美さんの話に、手が空いていた俺と健太は駆け足で二階フロアの最奥へ。
そして最奥に辿り着いた俺等が見たのはヨウが負傷している日賀野を背負って逃げているところ。否、手摺側にいたヨウが日賀野を故意的に落として、上半身を手摺向こうに投げ出そうとしているところ。
バランスを崩して落ちそうになっているヨウを見て、俺はなりふり構わず走った。
手を伸ばし、間一髪でヨウの右腕を掴んだ俺は強く引っ張って彼の体を戻してやる。
そこまでは良かったんだよ。
自分で言うのもなんだけどカッコ良かったんだよ。
やってやったぜ、俺的な気分だったんだよ。
でも、勢いづいたヨウの体重を支えきれなくて、舎兄と転倒したというオチがついた。
プレスされちまった俺、激カッコ悪! 元々カッコ良くは無いんだけど、それでもこの時くらい綺麗に決めたかったというのが本音。
なのにドタン、バッタン、ぐぇっ! ……ちーん。
ははっ、俺ってばキザ男にはぜぇーってなれねぇんだな。
分かります。ジミニャーノですもの。
所詮、田山圭太ですもの。カッコつけなんて百年早いんだと分かっています。
俺の上から退いて、「大丈夫か?」手を差し伸べてくれるヨウの気遣いには泣きたくなったね。



