一触即発の雰囲気が漂い始める。

微動だにしない両者リーダー。チームメート。そして公園に入ってくる第三者。妨害者のようだ。人数が多いこと多いこと。


「ざけんなよ」


こめかみに青筋を立てるヨウは俺達に目を向けた。バイク組は一旦乗り物から降りる。


「舐めるな」


日賀野も同じように青筋を立て仲間に目を向ける。戦闘態勢はバッチシのようだ。


「ッハ、どーせヒントは一つ。同じゲームを俺等にさせて衝突させて醜い争いをさせようって魂胆だろうが……その手にはもう乗らねぇ!」

「同じ手に引っ掛かるほどバカじゃねぇ。五十嵐は当然それを知ってくれているんだろーな? あ゛ーん」  


乱入してくる妨害者に、まるで積もりに積もった鬱憤を晴らすかのごとく両チーム、地を蹴って拳を振るい始める。


両チームが激突することはない。

助けるわけでもないけど、襲うこともない。思い思い乱入者を蹴散らす。



それは俺の目から見てみりゃ協力戦のように見えた。

そう……協力しているように俺は見えたんだ。



一頻り喧嘩し終わった後、俺達はお互いに仲間内のところへ戻ることになった。

その際、向こうの言いなりは癪だということでヨウは日賀野に「休戦だ」と言って暫くは喧嘩を吹っかけないと宣言。

「乗ってやる」

日賀野も仲間を助けたい気持ちの方が勝っているのか宣言に乗ってくれた。

結局工事現場のことなんだけど、休戦はしたけど協力するわけじゃないんで情報提供はお互いに一切なし。


向こうも自力で工事現場、ヒントを探す態度を見せてきた。



……それでいいのかなぁ。



俺は公園を去る際、日賀野チームを見てそう思わずにはいられなかった。

そりゃ対立しているチームだけど、お互いにこんなことしている場合じゃないと思うんだ。それぞれ仲間を人質に取られているわけだし。取られている……わけだし。


と、俺は反対側の出入り口から出ようとする健太と目が合う。


あいつは俺を見て、苦笑交じりに軽く手を振ってきた。手を振り返す俺も微苦笑。

どうやら俺だけじゃなく、向こうチームのジミニャーノも同じことを思っていたみたい。目がそう物語っていた。



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