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「荒川が舎弟を作るとは面白じゃねえか。しかもアイツとは正反対のプレインボーイ、か」


あの荒川がプレインボーイを舎弟にするなんざ、どういうジョークだろうな。

ま、あいつのことだ。

深い意味はないんだろうがこっちとしてはオモシレェ。プレインボーイが不良の舎弟、しかもあの荒川の舎弟がプレインボーイ。

見たところチャリ以外は何の取り得も無さそうな奴だったがオモシレェ奴だとは思った。



「田山圭太。通称ケイ。荒川に関わった以上、俺とも関わっちまうことになるラッキープレインボーイ」



口角をつり上げ、動かしていた足を止めると小さく点にしか見えない廃工場を振り返る。


「近いうちに会おうぜ、プレインボーイ」


ふわり、と青の混じった黒髪が風に靡いた。