「よくもハジメを……古渡って女は何処だ?」

「はあ? 何の話だ。そっちこそ、よくも仲間を傷付けてくれやがったな。この礼、たっぷり返すぞ。だいったいこの発端はテメェ等のちょっかいからだしな」


一変、日賀野は険しい顔を作って鼻を鳴らした。

ヨウは眉根をグイッと持ち上げる。


「はああ? そりゃこっちの台詞だ。中学の頃、テメェ等から吹っ掛けてきただろうが。俺等に過度なちょっかいを。お分かり?」

「フンッ。俺はゲーム好きだが、中学から続いている今回のことはテメェ等に原因があるんだろうが。元凶は貴様等だ」


「あーあーあー。むっかしからそうだが、テメェと話していると会話にすらなんねぇ。意味不明」

「へーへーへー。まったくもってそれには同感だ。貴様と話すだけ時間の無駄だっつーの」


青い火花を散らす両者、一触即発とはまさに今の雰囲気を指すんだと思う。


「仲良くすればいいのに」


向こうチームのアズミはとことん乗り気じゃなさそう。

なんで喧嘩するんだかと唇を尖らせている。


そりゃ俺だって同意見だよ。

喧嘩せずに仲良くしてくれたら、健太とだって対立せずに済んだんだから。


でも、そんなの無理だろ。このピリピリした雰囲気じゃ。


「あーもうっ。焦れ焦れにすんのやーめてくんない? 僕ちゃーん、待ちくたびれたっぴ。ねえ? アキラちゃーん」


「同感じゃいじゃいじゃい! おっさき、失礼!」


血の気の多いワタルさんと魚住が駆け出した。

まさしくそれが合図、最終決戦の引き金になったのは言うまででもなく。


「行くぞ!」


これで終わらせるとヨウは俺等に、


「散れ!」


これから小細工ナシに叩き潰すと日賀野は仲間に各々指示して自分達も駆け出す。

親玉は親玉同士で決着をつけるべきだろ分かっているのか、各リーダーは一目散に階段を駆けて相手の出方を窺っていた。


ワタルさんは魚住ともうドンパチしている。


他の皆は……。


「食べ物を粗末にした……お前は許さない」

「ククッ……まだ言っている……食い意地張った怒れた男」


副頭は副頭同士で、食べ物の恨みは怖い。

シズがまーだロールケーキのことで怒ってらぁ。

斎藤はそれに笑っているし。


「こんのぶりっ子カマ猫……決着つける時がきたみたいだな!」

「吠えないでよ犬。今日の僕はあんま、本気出せないんで宜しく。あーモト如き、本気を出すまでも無いけど」


モトはホシ、相変わらず犬猿の仲っぽい。

俺から見たらお互いに犬、猫っぽいけどな!



「ゴラァアアアア! イカババカイ! 俺と勝負しやがれぇえええ!」

「望むところだあぁああ! ターコ! ケッチョンケッチョンのギッタンギッタンにしてやる!」


「ンだとゴラァアアア! こっちはメッタンメッタンのギッチョンギッチョンだ!」

「パクるんじゃねえ阿呆ぉおおお!」



うるせぇお前等。イカタコ合戦うるせぇ。

イカバとタコ沢が吠えまくりながら激突している。


どーでもいいけどいっちゃん煩い面子だな。あいつ等、気質が似ているのか喧嘩が一々暑苦しい。


キヨタは紅白饅頭双子不良とやり合ってるみたいだし、響子さんは帆奈美さんと既に口論中。



「いけ好かない男」「だっれが男だって?」「響子」「おーおー言ってくれるじゃねえか」



……口喧嘩も……まあ、喧嘩だろ。