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どうも田山圭太です、今日はテンション低いです。最高にローテンション極まりないです。


原因はハジメ、のこともそうだけど、その周りのことでちょっといざこざが。


取り敢えず、あの後の話を簡単に説明したいと思います。


あの夜、ハジメは地元の総合病院に搬送された。 

救急車に運ばれる光景を目の当たりにするなんて初経験だった。


それが自分の友達なだけに心境は極めて複雑だったよ、ほんと。


俺等は一旦着替えを済ませるために各々自宅へ。


さすがにずぶ濡れのまま病院に行くわけにも行かず、着替えてハジメの待つ病院に行くことにしたんだ。


一刻も早くあいつの容態を知りたくて、俺等チームメートは全員で病院に向かった。


だけど……病院で待っていたのは、なんとハジメの両親。  

連絡を受けて病院にやって来たんだろうけど、俺等が来るなりハジメの両親は不良達を責め立ててきた。


ハジメを駄目にした人間がよくもまあ、ノコノコと現れてくれただの。訴えるだの。これ以上息子を駄目にするなだの。


散々ハジメの両親から文句を言われて、結局ハジメに会えず仕舞い。容態も分からず仕舞い。追い帰されちまった。


そして、これはもう笑うしかない。


向こうは弁護士をしているみたいで、法律に則(のっと)って訴えてやるだの癇癪を起こしてきたんだ。高校生相手に。


親馬鹿というより、モンスターペアレントを目の当たりにした気分。


脅された恐怖よりも、この人達がハジメの親なのか……そりゃハジメも肩身を狭くするよな、と揶揄したくなる気分になった。


ハジメの両親は、特にハジメを不良に引き込んだヨウを責めて立ててきたんだけど、あいつは負けん気が強いからこう一喝。



「偽善な親面しやがって。ハジメに自分達の理想を押し付けて、あいつを散々苦しめていたくせにテメェ等があいつの何を知っているんだ。

あいつがどんだけ苦しんでたと思う?
あいつの素さえ見なかったテメェ等なんざ、ちっとも怖かねぇよ。


訴える?
いいぜ、訴えろよ。受けて立ってやる。

テメェ等がどう言おうと、俺等の繋がりは俺等にしか断ち切ることができねぇ。エリート弁護士様じゃ一生掛かっても無理だ。絶対に。


寧ろ俺はテメェ等のような親を持ったハジメを同情しちまうぜ。

さっさと手前の理想なんざ捨てて、ガキの素を見るようプライドなんざ捨てろよ。

ハジメは俺等の仲間。
あいつが俺等を呼べば、俺等は何度でもあいつの前に現れる。大事な仲間だから」



「ッハ、胸糞悪い大人だぜ」弁護士相手に堂々吐き捨てたヨウは俺等に行くぞ、と声を掛けて、ハジメの両親に背を向けた。


どうせ此処で対立しても会わせてもらうことは出来ないし、病院にも迷惑を掛けると分かっていたんだろう。


後日ハジメに会いに行く、俺等に言ってハジメの両親を睨んだ。


ああいうタイプの大人ほど、ヨウは嫌悪感を抱くからな。顔を合わせるのも嫌だったんだろう。俺達は黙ってヨウに従った。


後日、病院を訪れてみれば……はあ? マジかよ! な気分になった。


なんとハジメは両親の金の力によって別の病院に移されていたんだ。


俺等と縁を切らせるために、惜しみなく病院を変えてしまった。


何処の病院に移されたのかと看護師さんに聞いても、キツク口止めされているのか一向に教えてくれなかった。


これにはヨウも仲間も怒り爆発。


なんで大人ってこうなんだ大人って汚ぇ!

息子の友達のことで親が干渉してくるなんて、どうかしている! 親馬鹿過ぎる! たむろ場で散々文句を吐いていた。