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荒川チームに吉報が入った。


それは『エリア戦争』の勝者である浅倉チームが本格的に再出発をしたというもの。


蓮さんの復帰により、榊原に引っこ抜かれた仲間の内、半数以上は浅倉さんの下に戻ったそうだ。


全員が全員戻ったわけではないらしい。


中にはチームという枠が嫌になり、去った仲間もいるようだ。


それはそれで寂しい話だけれど、悲しんでばかりもいられない。


浅倉さんを慕って一からやり直そうとする不良が彼の下に集ったのだから。


チームを再結成すると決めた浅倉さん自身もリーダーとして責任と自覚を持ったみたいだ。


二代目舎弟の桔平さん曰く、前以上に頼り甲斐のある人になりつつあるらしい。

仲間の意見や気持ちをよく聴いて、苦手な頭を使おうと努力しているらしい。


使い過ぎて「おりゃあ頭が爆発しそうだ!」度々嘆いているとか。


まるでこっちのリーダーを見ているようで思わず話し笑っちまった。  


初代舎弟の蓮さんはもう一度、浅倉さんの舎弟としてやっていくという。

未だに自分を許せない彼は仲間と距離を置くことも多々だそうだ。


けれど新たな気持ちでチーム再結成に協力していくと決めた以上、頑張っていくのだと俺に話してくれる。


今度は桔平さんという新たな舎弟と共に舎兄を支えたい。

許せるその日まで行動してみると決意を明かしてくれた彼とは境遇や立ち位置が似ていることもあって、とても仲良くなった。否、誰よりも仲良くなった。


勿論、桔平さんや涼さん達とも仲良くなったけれど、向こうのチームで一番親しくなったのは蓮さんだった。


メアド交換は勿論、プライベートで遊ぶ約束も結んでいる。

彼と会えば必ず、二人で大はしゃぎしてしまうほど俺達は馬が合った。


あんまりにも仲良くなってしまったものだから浅倉さんとヨウが口を揃える。


「おめぇ等、仲良過ぎだろ!」

「テメェ等で舎兄弟を結ぶんじゃねえだろうな?」


蓮さんと大笑いしてしまった。

そう思われるほど仲良くなってしまったようだ。

うん、それもいいかもしれない。

ヨウに聞かれたらシバかれそうだから冗談でも口にはしないけど。


蓮さんに耳打ちをしたら、これまた彼は大笑い。

その線も二人で考えておこうとウィンクをされてしまう。


その時は二人で舎兄にシバかれる覚悟だな。


こうして浅倉チームの吉報を受けた俺達は協定を結んだチームとして、ようやく『エリア戦争』の勝利した喜びを噛み締めることができた。


彼等とはこれからも協定を結び、お互いに手を貸してほしい時が来たら、無条件で助け合う約束が交わされたとヨウが俺達に教えてくれた。


異論はない。

浅倉チームのためなら、俺達はまた相手チームを想って行動を起こすことだろう。


向こうチームもそれは一緒だと思う。


一件で荒川チームは弱小チームと呼ばれた不良達と、かけがえのない友好を結ぶことができた。これは今後の俺達にとって大きな強みになるだろう。



閑話休題。


向こうのチームの吉報、そして勝利の喜びを噛み締めることのできた俺達は遅めの打ち上げをすることになった。


あれだけ奔走したんだ。


少しくらい勝利に酔い痴れたって罰は当たらないだろうし、向こうの再出発に対してもお祝いをしてやりたい。