「不良さん達って着飾っているだけで、根っこは私と同じ十代。同級生なんだなって分かりましたし。
ちょっとやることが大人染みたり、公序良俗に反するようなことをしたりはしますけど、基本的に私の出逢った不良さん達は皆良い人達ばかりでした。
小中学時代のようにウジウジばかりしたくないので……自分を変える意味で気持ちを伝えてみようかなぁ」
ポジティブ発言に俺はうんっと頷いて笑顔を作った。
ココロがそう思うなら、頑張ってみたらいいと思う。
折角そんな風に思えるようになったんだ。その気持ちは大切だと思う。
俺も頑張ってみるよ。
フラれると分かっていても、どーせ地味だからとか平凡だからとか無理だからとか、そういった逃げを口にするのはやめて、自分の気持ちを相手に伝えようと頑張ってみる。
だからココロも頑張って欲しい。
「あれ、響子、まだ来ていないみたい……あんなところにケイとココロがいるじゃん。二人とも何をして」
微かに聞こえる弥生の声は俺達の耳には届かない。
ふっと頬を崩して微笑み合い、俺は彼女の恋心を心の底から応援することにした。
「ココロなら気持ち、伝えられるよ。ヨウに伝えてみろって気持ち」
「はい、ケイさんも頑張って下さい。弥生ちゃんへの告白」
「はひっ?!」
どこかの誰かさんが悲鳴を上げたことにより、デガバメの誰かさんは通りすがりの浅倉チームの人間に声をかけられたのだけれど、やっぱり俺達は気付かない。
お互いに頑張ると笑い、健闘を称えあった。
彼女から視線を逸らし、頑張ろうと自分にも励ましを送る。
しかしその数十秒後、俺は物の見事に硬直してしまう。
あれ、ココロの奴、今なんて言った? なんで弥生が出てくるんだ?
あれ……もしかして弥生のこと好きだって思われている? あれ? あっれー? あっれぇええ?
まさかの展開なんですが!
大慌てで視線を戻し、「違うから!」俺は両手を振って頭から名指しされたの相手を否定する。
片恋相手に誤解されるとか無いぜ、ほんと!
なんで俺の片恋相手が弥生になっているんだよ!
そりゃ弥生とよく話す方だとは思うよ?
だけど俺、「実は弥生に気があっちゃってさ」とか言った? 言っちゃった? ……ンなこと言ったらハジメにぶっ飛ばされるぞ! 喧嘩できない同士が喧嘩しちまうぞ!
全然違うからと焦る俺に対し、ココロも「どうしてヨウさんが?」本気で焦っている様子だった。
そしてまさかとばかりに、顔を赤くして少しだけ声音を張ってくる。何だかちょっと声には怒気が含まれていた。
「け、け、ケイさん、まだ誤解をしていたんですか! 私、ヨウさんに対しては憧れしか抱いてないと言ったじゃないですか! 違うと言ったじゃないですかー!」
酷いヒドイと言ってくるココロにワケも分からず責められたけど、俺だって異議あり!



