青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―




なんてこったいジョニー!


いっちゃん知られたくないココロに恋心を見破られてしまうとは、どういうことだいマックス! マーックス!


……もしかしてココロにばれた? 俺の気持ち。


試練か、これは試練の時なのか!

ああくそっ、ノリで誤魔化すか?


それともノリノリで「君のことが実は好きなんだぜベイベー」とか言っちゃう?


キャラじゃない。

イケメンじゃない俺が告るなんてギャグにしかなんねぇ。


そういうチャラけた台詞はヨウみたいなイケメンくんが言って許される台詞! 俺が言ったらサブイ告白だ!


取り敢えず、お、落ち着け俺。


まずココロが本当に気持ちに気付いているかどうか、それを探るのが先決だろ。 


もしも気付いているのなら、腹を括って言おう。

失恋ドンマイで気持ちを伝えよう。


ヨウは言っていた。

気持ちが言えるチャンスがある時ほど羨ましいものはない、と。



あいつはチャンスを逃して帆奈美さんに気持ちさえ言えずに敵対しちまった。



本当は辛いんじゃないかな。

日賀野達と敵対したことや、大好きだった帆奈美さんと敵対したことに……本当は。


片隅でヨウのことを考えながら、

「どうしてそう思うんだ?」

ココロに理由を聞いた。


間髪容れずに女の勘だとココロは笑みを浮かべる。


スッゲェな、女の勘。

怖いくらい鋭いぞ。


誤魔化しても見苦しいだけだろう。


俺は間を置いて頷いた。


どっかの誰かさんに恋をしている、と。

ココロと同じだと付け足して。


すると彼女はひどく動揺したように頬を真っ赤に染めた。


「なんでそう思うんですか?」


相手の問い、


「男の勘だよ」


俺はおどけ口調で目尻を下げる。

小さな唸り声を上げるココロは否定しなかった。


露骨に態度に出してしまったゆえに、否定しても無駄だと思ったのだろう。態度で肯定をしてくる。恋をしている、と。


お互いに少しばかり口を閉ざす。


不意に腰を上げ、制服についた砂を払いながら俺はココロに、ちょっと外で話そうかと誘い出す。


安易に此処で話す内容じゃないと思ったんだ。それに二人だけの方が話しやすい。


此方の気遣いに気付いたココロはこっくりと頷いて誘いに乗ってくれた。


『エリア戦争』のことについて真剣に話し合っている両チームの目を盗み、俺とココロはこっそりと倉庫の外に出る。誰にも気付かれないよう、こっそりと。