「具体的に強行突破するってどげんゆうこつだ?」
涼さんが方言まじりに質問を飛ばす。
意味はなんとなく伝わってきた。強行突破をするってどういうことだ? って聞きたいんだよな。
俺もそれは思った。
弥生はどんなイメージでごり押すつもりなんだろう?
すると弥生が満面の笑顔で俺を指差してくる。
「ケイみたいな感じ」
空気がものの見事に凍てつく。否、凍てついたのは俺、田山圭太である。
ケイみたいな感じぃ? つまり俺みたいな感じぃ?
……へいお嬢ちゃん、俺を名指しするってどういうことだい?!
なんでここで俺が出てくるんだよ!
『強行突破=田山圭太』の方程式は生憎俺自身も持っていない。
田山圭太は強行突破なんて物騒な単語なんぞとご縁がございませんよ!
「はあ……荒川の舎弟みたいな感じねぇ。つまり、どげんこと?」
うっわぁ、その溜息と質問の間!
白けた眼で見てくる涼さんが、まるで俺に対して白けた空気を作るなと言わんばかりの態度を取ってくる。俺は何もしていないのに!
空気は読む子だと自負しているからこそ、この空気は居た堪れない! 白け空気の冤罪疑いを掛けられた俺乙、田山圭太乙!
空気を打破するために、俺自身も弥生にもっと分かりやすく説明してくれるよう頼む。
じゃないとこの白けた空気はどうにもこうにも俺のせいになりかねない。
露骨に焦りを見せる俺に対し、「まんまだよ」弥生は笑顔を浮かべたまま説明を始めた。
「ケイさ、いつも話してくれるじゃん。ヨウをチャリに乗せて強行突破したって」
んーっと、それはあれか。
ヨウが無闇に喧嘩を売買したものだから、相手の逆恨みを買っちまって、最悪集団に追い駆けられてしまうっていうあれか?
「それは相手が大人数だからだよ。
俺とヨウの二人しかいないのに、向こうは大勢で向かってくるから、仕方がなしにチャリで逃げるしかないと思って強行突破するんだ」
「それだよそれ! だからさ。東西にいる都丸チームと刈谷チームを無視したいなら、びゅーんっと突破すればいいじゃん!
打倒榊原なら、びゅーんっと強行突破! どう? 名案じゃない?」
「ばってん、そいはちかっぱこまめちゃんやり戦法じゃなか(それは超無理やり戦法じゃないか)?」
ああもう、だから涼さん、方言が、方言が!
ツッコむのもメンドイぞ、あくまで心の中だけだけど!
ご尤もな意見を述べる涼さんだけど、弥生の意見がハジメの閃きを導き出したようだ。
「そうか!」
その手があったと、ハジメはノートの切れっ端に殴り書き。
俺等がその殴り書きを読んでも、何を書いているのか些少しか分からない。
まるで英語の筆記体みたいな字だ。
首を傾げる俺等に対して、内容を書き終えたハジメは言う。強行突破プラス、スピード勝負でいこうと。
スピードを上手く使えば、都丸チームと刈谷チームを潰し合わせることもできる。
無駄な労力を使わず、最終目的に辿り着ける。
ハジメは強くつよく訴えて弥生に大手柄だと褒めを口にする。
そしたら弥生が俺の背中を思いっ切り叩いて(痛ぇ!)、満面の笑顔を向けてきた。
「それもこれも、ケイがオモシロ話を私にしてくれてくれたからだよ!」
オモシロ……俺は自分の不幸話をしているんだけど。
いやいやいや、いいんだよ。
人の不幸は何とやら、不幸話の方が笑えるしネタになるもんな! くっそう、そのネタにされている俺、ドンマイ!



