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【協定集会・場所:倉庫(荒川組たむろ場)】


嗚呼、なんてこったいマドモアゼル。 

とんでもジョニーな光景に、俺の気持ちは勘弁してくれフロイラインだ。


かつてない光景に圭太、喪心しそうッス!

こんなにも多くの不良に恵まれてしまって俺、泣きたいッス!


勿論感涙じゃなく、悲しみの涙ッス!

涙も心もしょっぱい気持ちで一杯ッス!



……阿呆なことはここまでにして、この不良の数はない。


過度に言いすぎかもしれないけれど、それにしたってこの人数には「……」だ。


俺達のチームと浅倉さんチームを合わせると結構な数になるもんなんだな。

若干向こうの方が人数的には多い気がする。俺は向こうのチームを見やって不良の数を数えた。


俺達チームの人数は男女合わせて11人(と、チームに手を貸している利二を合わされば12人)。



一方、向こうの人数は15人。

現時点では4人、向こうの方が数が多いみたいだ。


ただ俺等と決定的に違うのは向こうには女がいない。見事に野郎ばっか。


もしかしたら“エリア戦争”に参加するからと、女の子は入れていないのかもしれない。チームから抜けさせているのかもしれない。

力的な意味で女の子は足手纏いだし、やっぱり女の子に怪我をさせるのはなぁ。


そういう面じゃ俺等も同じで、基本的に女子は待機組(もしくは情報・作戦組)に回ってもらっている。

響子さんは自ら喧嘩に参加すると言っているからあれだけど(でもヨウやシズは今回に関しては反対しているみたい。

だから補佐をしろ、と条件を出していた)、非力な弥生やココロに喧嘩に加担しろ、なんて酷だしな。


ま、非力な俺も十二分に酷な戦場に借り出されるんだけどさ! 死亡フラグ満載どーするよ……。 

 
がっくり肩を落とす俺は、改めて集会光景を見つめる。


協定集会が始まったのは午後五時。

夕焼けが何年も掃除されていない倉庫の窓から射し込んで、倉庫内を見事な真紅に染め上げている。

比例して皆の制服や肌の色が夕陽色に染まっていた。


集会が始まる前から向こうのチームは険しい面持ちだった。


協定を結んだ俺等に友好的な感情は見せてくれているものの、未だに俺等を信用していないのか、もしくは『エリア戦争』に憂慮を抱いているのか、硬い表情が殆ど。


おかげで各々不良に妙なオーラが取り巻いて、圧死しそうな威圧感が倉庫を満たしていた。空気が重い。超重い。息苦しさにトンズラしたくなるほどだ!



そんな中で始まった集会。


野郎は各々ジベタリングしているため、倉庫内はお行儀の悪い光景極まりない。



まずは浅倉さんが代表してリーダの自分と副リーダーの涼さんを紹介してきた。


人数が人数だ。

全員を紹介する時間が惜しい。


せめてチームの中心人物だけを憶えていてもらおうという配慮から、自分を含むチームの頭を俺等に紹介。


それに倣い今度はヨウが改めて、浅倉さんチームにリーダーの自分、副リーダーのシズを紹介。

簡単な自己紹介後は、浅倉さんが早速『エリア戦争』について現状を全員に説明する。