こうして俺はヨウの承諾を得て、ワタルさんと一緒に不良三人をたむろ場まで連れて来た。



たむろ場にいるヨウに会わせれば、三人の誤解も解けるだろう。


そう思っていたのだけれど、まだ誤解していたらしく「客はテメェ等か?」訝しげな眼を向けて歩み寄って来るヨウに三人のこのような反応。


「はぁー。荒川の舎弟はえっらい美形だな。おりゃあ、こういう男に生まれたかった」

「ですね、俺もそう思いますよ、和彦さん!」

「よか男は罪ですよね。この容姿じゃあ不良でも真面目でも女にキャーキャーですよね。で、この方のお名前はなんて言うんです? 荒川さん」


で? も、何も、くそも、荒川もあるか!



「だから俺は田山なんです!」



向こうが荒川だと指差し、田山だと名乗っても、またまたーで流される。

生徒手帳を見せても借りたんだろうんぬんで流されちまうんだ。


もう、人の話を聞いてくれない不良さんなんて嫌いだ! 不良さんは元々嫌いなんだけどさ! 正しくは嫌いじゃなくて恐いんだけどさ!



「ヨウ……助けてくれ」



俺は舎兄に泣きついた。

もはや相手にもしたくなかった。


「なんでてめぇが俺に勘違いをされているんだ?」


首を傾げるヨウは自分が荒川だと不良三人に説明してくれたんだけど、こいつ等の誤解はなかなか解けず。

次第にヨウもなんだこいつ等、と音を上げる始末。


結局、一番説明の上手いハジメが誤解を解いてくれるまで五分を要した。


「なんだ、お前等。地味っこいが舎弟で、イケメンが舎兄か」


だったら最初からそう言ってくれればいいのに。

浅倉和彦に文句を言われたけれど、俺等は最初からそう説明しているっつーの。人の話をちゃんと聞けい!



さて誤解も済んだところでヨウはメンバー全員を集め、客人と共に倉庫内に入るよう指示。そして喧嘩目的ではないらしい客人に用件を尋ねた。


すると客人の浅倉和彦がまずは自分はチームの頭だということを説明、次にこう申し出た。


「おりゃあ、荒川チームと手を組みたくて交渉しに来た」

「俺等と?」


「ああ。荒川、お前のところのチームと手を組みたい」


話は冒頭に戻る。

浅倉和彦は俺等荒川チームと協定交渉をしに訪問してきたのだ。