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翌週の月曜日。


おかげさまで完全復活を成し遂げた俺は元気に学校に通うことができるようになった。


熱も完全に引いたし、風邪の陰りも見えない。

日曜日にゆっくり休養を取ったから、健康な体を取り戻すことができた。


気持ちに迷いはまだまだあるけど、ワタルさんの助言どおり、自分なりの答えを探すと決めたから、田山圭太は完全復活なんだぜイェーイ!


チャリもいつもどおり漕ぐことが出来るようになったし、調子にも乗れる。


勿論、何もかもが元通りというワケじゃないけれど、ある程度の日常風景は戻って来た。ある程度はさ。


そういえば、舎兄問題の件なんだけど。あれがどういう経緯があって問題が発生したのか、俺はその日の昼休みに知ることになる。



「ケイ、ちょっと付き合ってくんね?」



それは昼休み始まった直後のこと。

筆記用具等を片付けていたら、ヨウが教室に入って来て俺にちょっと付き合って欲しいと頼んできた。


売店にでも行くのかと思ったんだけど、ヨウは学校を抜けたいらしく一緒に外に出てくれないかと頼んできた。


校則が脳裏にちらついたけど、ヨウの頼みを断れる筈もない。

例えばあいつに「校則違反だぜ?」と注意をしても、「それが?」の一言で突っ返されるに違いない。


なによりもヨウ自身、俺と個別に話したそうだった。頼んでくるヨウを見ていれば分かる。


「いいよ」


俺は快諾した。

チャリの鍵と財布、そして携帯をブレザーのポケットに突っ込んで俺はヨウと一緒に教室を出た。


その時ヨウがチラッと教室の方を一瞥していたけれど、俺はハジメもしくは弥生に視線を投げているんだと思って別段気にはしなかった。 


駐輪場に置いているチャリを取りに行き、俺はヨウと一緒に堂々と学校を抜け出す。


一年からこんなことをして二、三年になった時は大丈夫だろうか? 不安もあるけど、未来より今だよな、今。


将来も大切だけど、目前の不良も大切だろ! 場合によっちゃ恐怖を味わうんだぞ、ベラボウチクショウめ!


俺はペダルを漕いで、チャリを走らせる。

「何処に行くんだ?」

ヨウに尋ねると、

「公園かどっか」

静かな場所で話したいんだと告げてくる。


つまるところ行き先は決まっていないらしい。


だったら……俺はヨウを一瞥して案を出した。



「じゃあさ、俺の行きたい場所に行っていいか? 飯はコンビニで買おう」