(――わ、笑う練習……してみようかな。笑う方が……好きって言われたし) 




あ、でも意識しているわけじゃなくて。

笑っている方が好きだとお友達に言われたから、ちょっと試してみたくなっただけで。


自分自身に言い聞かせるココロは照れ照れに照れていた。


誰の目から見ても照れていた。

やや気持ちが浮ついてるようにも見える。


密かに二人の会話に聞き耳を立てていた不良達は同じことを思っていた。


あそこまで意識し合っているなら、さっさと気持ちを伝えればいいのに……と。



「け……ケイさん、早く元気になるといいな……一緒にご飯、食べられたら良かったのに」



非常に気持ちが浮ついているらしくココロは今、零した独り言を表に出したことすら気付いていない。


一応、気遣いとしてスルーはしたがココロの独り言は続く。ケイさんの姿が見られて良かった。


助けられて嬉しかった。

仕舞いにはもっと可愛い服を来て来れば良かった、と自分の服装を気にする始末。


(ココロ、もっと積極的になってもいいんだぞ。アンタの可愛さはうちが保障する。はぁーあ、安易に口を出せば変に気持ち隠すしな)


妹分を気遣う姉分の響子。


(ケイの奴。勘違い起こしてやがるからな……ココロはどー見たってケイのことが好きだっつーのに。なんで勘違いしてやがるんだ) 


頭痛がすると愚痴る舎兄のヨウ。 

その他諸々の不良も同じような気持ちを抱いていた。


チーム一のジミーズ男女ペアは、周囲をじれったくさせる特技を持っているらしい。とにもかくにもじれったい。


嗚呼、じれったい。


なんで見守るこっちがやきもきしなければならないのだ。


ベタな青春恋愛ドラマでも見てる気分だ。さっさとくっ付いてくれ。



不良達の気持ちは、今まさに一つとなっていた。




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