その夜。



「――でな、舎兄でいっぱいいっぱいの俺に今度は舎弟ができそうなんだよ。

利二、俺は泣きたいっ! いや寧ろもう半泣きッ。
俺ってどーしてこう不良難に恵まれているんだっヨウとの舎弟白紙はもう無理だし、今度は舎兄になりそうなピンチだし。結局、キヨタを弟分にしちまったし。

ううっ……としじぃー! 俺ってもう、死ぬしかないよな! オワタ奴だよなっ!」


『田山……少し落ち着け』


「これが落ち着いていられるかッ、チックショウ、平穏が恋しいよぉおお!」


『……明日にでも会うか? 慰めついでに奢ってやるぞ。愚痴も聞いてやるから』



「利二ー! アイシテルー! 俺の心の安らぎは利二だっ。も、お前、いっそ俺の舎弟にならね? そしたらキヨタ、多分諦めてくれると思うし」



『………無茶を言うな』

「無茶でも何でも、俺、マジで毎日が死にそうなんだってーっ! 頼むよ、利二!」


舎弟おろか舎兄になりそうな危機でのショックと動揺のあまり、深夜中、延々と電話で利二に泣き言を零す俺がいたという。



今回の騒動の散々な被害者は俺、田山圭太だということは言うまでもないだろう。





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