「あのー……お客様」


  
試着室のカーテンが少し開けられ、そこから服屋の店員お姉さんが顔を出す。



「ご試着でないならちょっと……」



言葉を濁された上に、引き攣り笑いを向けられる。


さらに俺とモトを交互に見やっているものだから居心地が悪い。


だってさ、狭い試着室に服を試着するわけでもなく、野郎二人が座り込んで、ギャンギャンワンワン言ってて。

しかも俺、感涙しているから若干顔が酷いという。

営業妨害もいいところだろ俺等。んでもって結構なまでにキモイだろ俺等。



「すみません」



俺達は揃って頭を下げるとそそくさ試着室から出た。


(なんか、店内にいる客達の視線……痛いな)

(オレ等の会話、聞こえてたんじゃね?)

(それはそれで……)

(痛い……痛過ぎる、オレ達)


妙に店内の視線が突き刺さってくるけど、そこは心を鋼鉄にして、急いで店を後にする俺とモトなのであった。




⇒#03