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やっぱダルくても授業はサボっちゃ駄目だよな。

今の時間、数Aなんだけど授業にやっとついていけているってカンジ。

ところどころ先生の言っている言葉に「何それ?」と思うし。

黒板と教科書とノートを睨めっこしながら俺はサボらなきゃ良かったと大後悔だ。


利二に教えてもらっていたから、辛うじて授業内容についていけるけど正直言ってきついよ。


ノートも全然取っていないから、後で利二に借りないとな。

ノート点検で減点食らうのはかなり痛いぜ。


数学が苦手な俺にとってノートや出席や提出物で点数を稼がないと、単位が仮に貰えたとしても評定が悲惨なことになる!

でも出席で点数を引かれると思うから、テストの時に平均以上取らないと結局悲惨な評定が。


じゃあ、ヨウ達の誘いを断って真面目に授業に出られるかと言ったら、それができないんだな。できたらとっくに俺は不良と縁を切っている。


あははっ、困っちまったぜ。

田山圭太、(多分)留年はしないだろうけど、一年の評定が悲惨なことになっちまうぜ。


評定の悲惨な理由が「授業をサボりまくってこんな悲惨なモノになっちゃいました。てへ」なんて言ってみろ、確実に親に殺されるから!

その前に授業サボッていることを黙ってるから、バレたら確実に殺されるんだけどさ。

三者面談とかで言われそうだな、出席率のこと。前橋だったら親にチクりかねない。


(あ~~~! 嫌だけど家に帰ったら勉強しよう。今度あるテストで全教科平均以上取らないと色々ヤバイッ!)


平均以上取っていたら、出席率を言われても「もうサボらないでね」注意くらいで済みそうな気がする。うん、気がするだけだけど。

大きく溜息をついてノートを取っていたら、引き出しに突っ込んでいる携帯のランプが点滅していることに気付いた。メールが来ているみたいだ。


授業中はサイレントモードにしているんだ。


じゃないとメールとか来た時、バイブ音鳴ったら最悪じゃん? 俺と前橋と学年主任の三者面談になっちゃうじゃん? そんな地獄は味わいたくねぇもんな。


だから嗚呼、メール、スルーしたいんけど。

俺は先生にバレないようこっそり携帯の画面を開いた。 


『From:荒川庸一 件名:無名
 暇…。英語、意味不明。何語だよ。これ』


勿論、英語だろ!

俺は思わず声に出してツッコミたくなった。どうにか堪えて返信を返す。

よし、授業に集ちゅ……もう返事が返ってきたし?!


『From:荒川庸一 件名:無題
 俺は日本人だ。英語イラネェ。てか、返信遅くね? 前の時間もなんか遅かったぜ? 寝てたのか?』


バッカヤロッ、お前と違って真面目に授業を受けているんだよ!

しかも俺に日本人主張するなよ、俺も日本人だっつーの。

お前と同じように英語なんかチンプンカンプン、英語イラネェと思っている日本男児だよ。


『授業中だから遅いんだって。先生に見つかったらヤバイだろ』


返信をしたら、また直ぐに返事が来た。


『From:荒川庸一 件名:無題
 バーカ。見つかったら睨め。舐められンぞ?』


お前が教師を舐めているよ! 真面目に授業受けてこーい!