校庭の梅の花がほころび甘美な薫りが風に運ばれる3月1日。 春特有の強い一迅の風が校庭の間を吹き抜ける。 卒業を祝う声があちらこちらでする。 たくさんの生徒の中でも何故か目を引く少女がいた。 絹の紅いリボンをした制服の黒いセーラー服で華奢な身体を包み、滑らかな長い髪が風になびく。 彼女の頬を冷たい液体が伝う。 その雫は、誰にも拭われることもなく、地面に落ちた。 _____ __