頭の中にあるのは、百合と安里の事ばかり。
今何してるのかな
今何を話しているのかな、とか。
思いたくても思っちゃうんだ。


『優?どうしたの?』


『え?…何もだよ』


『…楽しくなかったかな?』


『んな訳ないじゃん』


『良かったー……痛ッ』


『どうした?』


『足が痛くて…』


『休もっか?手貸せよ』


『うん…』


僕はあみの手を握ろうとしたんだ。


…ドーン


花火の音が鳴る。
向こうから誰かが泣きながら走ってくる、
白い浴衣姿のかわいらしい人。
百合が走ってきた。



気付いた時には、僕は走っていた。
百合がいる方へと。
あみを置いて。



人混みの後ろからあみの声が聞こえる。
でも僕には聞こえない。
僕は人混みから百合の手を握った。
久しぶりの百合の感触。
思い出すあの記憶。



『…百合?』


百合は驚いていた。
百合の目には涙が溢れていた。


『百合?どうしたの?』


『…鈴木君……何でもないよ?』


『安里は?!』


『ケンカしちゃったぁ…』

『あっちで話そ?』


僕は百合の手を握ったまま静かな所へいった。


『何でケンカしたの?』


『私が悪いの』


『……安里心配してると思うよ』


『…そうね』


『………久しぶりだね』


『ん?』


『こうやって話すの』


僕は緊張しているせいかうまく話せないでいた。


『そうだね』


『百合は…ちゃんと前に進んでる?』




百合、この質問に少し間があった事に僕はきづかなかった。



気付けばこんな事にならなかったのに…