もうすぐで桜の季節が終わろうとしていた。

桜がヒラヒラと散っていく。

僕と百合との思い出もヒラヒラと散っていこうとしていた。
僕は最近百合に会っていない。
百合のクラスは2年1組で、僕のクラスは2年6組。
端と端で一番遠かった。


だからなかなか会えなかったんだ。
会いたいという気持ちはいっぱいあったけど、会えなかった。
僕はいつもと同じように女の子多数と帰っていく。
僕は必ず帰る時は、テニスコートの近くにある門から出ていく。


ほんの少しだけ百合に会えるから。
今日もテニス部は部活をやっていた。


今日は百合はいるかな…と僕は百合を探す。


…いた。

久しぶり百合を見た気がする。


百合…また可愛くなったな…。


そしてテニスコートに近付くと、僕は大きな声でみんなと話しながら笑う。


何故大きな声で笑うって?


それは百合に気付いてもらうため。
百合にヤキモチをやかせるため。
でもこんな事しても無駄だったんだ。


百合はもう歩き出していた。



もうすっかり桜は散って、梅雨の季節になっていく。


もうクラスには慣れた。


『優はさ~今彼女欲しいとか思わん?』


こう突然安里がいう。

『……いらねぇなぁ』


そんなこと聞くなよ。
思い出しちゃうじゃん…。
思い出たちを。


『あのさ…変な事聞くけど、小林さんと別れたの?』


この質問にびっくりした。
僕達が昔付き合っていた事は学年全員知っていた。
当然別れた事も知っていると思ってた。


『…別れた!!!』

『何で?』

『だってあいつ嘘つくもん』


百合…百合の事あいつ呼ばわりしてごめんね…