まさか、そんなこと…。

僕は驚きを隠せない。



どうしよう…どうしよう…


僕は家に持ち帰り、家で手紙を一つ一つ読み始めた。


読み始めて気付いた事。
この手紙を書いた人は全て一年生だったということ。


《友達になって下さい》
《メールして下さい》
《一目惚れしました》


などといろいろ書いてあった。



僕はこの子達から少しだけ勇気をもらったんだ。
手紙を渡す事は凄く勇気がいる事なのに、僕に手紙を渡してくれた。

素直に嬉しかった。

でもこの子達に答えてあげる事は出来ないんだ。

僕には百合がいるから。
僕は百合が一番だから。


僕は次の日、この手紙をくれた人達の所へ行った。


まず最初に《友達になって下さい》と言ってくれた彼女の元へ。

1年5組  木下さんの所へ。


僕が現れた瞬間、みんなびっくりしていた。

凄く視線を感じる。

それもそうだろう。
外見が目立つから。
そのくらい自分で自負しているよ。


『木下さんってどこにいる?』

『私…です』


『話しいい?』


こう言って僕は木下さんを連れだした。

教室ではすごい騒いでいた。

『ごめん…俺好きな人いるから』

『そうですか…すみません…ありがとうございます』

『…うん、じゃあね』

『はい…』

彼女は悲しい表情を見せて、僕の前から去って行った。

一人目終了。


次に向かったのは、《メール下さい》と言ってくれた、彼女の元へ。

1年1組 藤村さんの所へ。
またさっきと同じ反応。


『藤村さんちょっといい?』


そしてまた教室は騒ぎ出すのだ。


『俺…好きな人いるから…ごめんね』

『いいです…すみません』

『嬉しかったよ、ありがとね』

『はい…わざわざありがとうございます』


『気にしないで。じゃあね』


さっきの木下さんと同じ表情。
なんだか、こっちまでも悲しくなってくる。

二人目終了。



次に向かったのはあの教室。


1年2組。


僕達が始まったあの教室。