僕は教室へ向かった。
静か過ぎる廊下。
聞こえるのは授業をやっている先生の声と、僕の歩く音だけ。
もうすでに3時間目は始まっていた。
久しぶりの教室。
僕はドアを開けた。
―ガラガラ・・・
『遅刻しました』
『もう少し早く来い』
授業は数学だった。
皆、僕を見る。
『優!1 すげぇ久しぶりって感じがする!!』
『そうだな』
僕は席に着く。
百合の隣の席へ。
『優君…久しぶり…だね』
『……………』
僕は黙り続けた。
でも本当の僕は喋りたかった。
百合にいっぱい嘘をつかれたけど、僕はまだ百合が好きだった。
静かに授業を受ける僕。
授業中百合の方は一度も向かずに。
授業が終わると僕は一人で教室を出た。
百合から離れたかった。
一人で冷静になって考えたかったんだ。
僕は屋上へ向かった。
空を久しぶり見た感じがした。
ずっと家にいたから空なんて見てなかった。
空を見ていたら何か壊れていたモノが直っていく気がした。
そして僕は自分の気持ちを整理していった。
一つ。
一つ。
ゆっくりと僕は考えた。
最初に出た結論。
それは百合とちゃんと話す事。
ちゃんと話そう。
百合の話をちゃんと聞こう。


