今日はいい日にしたい。
百合と思い出を作りたい。
告白の事で頭がいっぱいになっていたら、もう学校は終わりに近付いていた。
早くしないと百合が帰ってしまう。
『百合ー今日部活やってくの??』
『うん!やってくよ』
『そっかぁー頑張ってね!バイバイ』
僕の隣での沙紀との会話。
沙紀は歩と帰って行った。
百合も教室から出ていった。
僕に『バイバイ』と言ってから。
今日、百合に告白できなかった…
今日したかったのに。
──待てよ…さっき百合が部活をやって行くって言ってたな…て事は…まだ学校に残るって事。
僕も学校に残っていたら百合に会えるかもしれない。
そう思い,僕は学校に残った。
僕は歩きだした。
百合が部活をやっているテニスコートへ。
―ポーン ポーン
ボールが打たれる音。
行ったりきたりするボール。
僕はフェンス越しで百合を見た。
何か隣にいる時とは違う感じだった。
夕焼けのせいか、百合の体がオレンジ色に染まっている。
あの二人で教室に残っていた時と同じ夕焼けの色だった。
僕は百合が部活を終わるのを待った。
約2時間ぐらいあったが、百合を見ていたら2時間なんてあっという間だった。
オレンジが黒に変わっていく…
僕は少しだけ寝てしまった。
そしたら、
『優君?』
部活を終えた百合だった。
周りを見渡すともう誰も居ない…
オレンジが黒に変わっていた。
『どうしてたの?こんなとこで』
『えっと…百合を待ってた』
『あたしを?』
『うん…好きな人が教えれるようになったから』
『そうなの?…誰?』
『後ろ向いて?』
『うん』
『今から背中に名前書くから当てて』
『何か楽しいね』
『じゃあいくよ…』
僕は百合の小さい背中に《ゆり》と書いたんだ。
ガサガサと鳴る木が、僕を急がせた。