歩と沙紀が結婚して、
数ヵ月。
僕は今この地に立っている。
周りには、外国人。
右も左も分からなくなるようなビル。
そうここは、
百合が留学していたカナダだ。
僕は3ヶ月この地で過ごした百合を、見ておきたかった。
僕は前にカナダから届いた百合の手紙と写真を持って
百合を探していた。
住所を頼りに。
『あの…この住所分かりますか?』
僕は苦手な英語を使い、
住所を頼りにホームスティ先を探す。
『この住所なら、この道をずっと行けば着くわよ?』
『ありがとうございます』
僕はひたすらこの道をずっと歩く。
この道を百合が歩いたかなって思うだけで、僕は笑顔になる。
すると一軒の家が見えてきた。
目の前には海が広がっていた。
住所を見てみた。
確かにここだ。
百合がホームスティしていた家だ。
僕はインターホンを鳴らす。
―ビー…
日本とは少し違うインターホン。
その音で誰かが歩いてくる。
『…はい?』
中から出てきた人は、優しそうな目をして、
ブロンド髪がよく似合う、女の人が出てきた。
写真で百合の隣に写っていた人だった。


