この涙が枯れるまで



時計の針が動いていく。


一秒、一秒


一秒ってこんなに長かったっけ?



それでも近付いていく。百合に。



僕は大きな液晶テレビの前に座って、時間を待つ。
次第に、ザワザワとしてくる空港内。
この人達も誰かの帰国を待っているのだろう。
嬉しさでいっぱいなのだろう。



僕と同じなんだろう。
液晶テレビに映された、
天気予報士が、今日の天気について話している。



『今日は全国的に晴れでしょう』


百合と会うには最適な日だ。


テレビの左上をみた。
時計が11時47分になった。


あと3分で百合が僕の前に現れる。



でも運命は違った。
こんな運命…望んでいなかった。



僕は立ち上がり、到着客出口に行った。



あと1分…


あと30秒…



あと10秒…



あと3秒…


あと1秒…


すると僕の薬指にはめてあった指輪が、スルッと抜けた。


絶対に取れなかった指輪が、簡単に抜けていった。


何を意味をしているのだろうか…



50分を過ぎても…


到着客出口から出てくる人はいなかった。
すると液晶テレビの画面が変わった。



『速報です…』



ねぇ…?


なぜ…?



なぜなの?


答えてよ…



ねぇ…