この涙が枯れるまで




もう地平線に夕日が沈みそうになっていた。
浜辺にいた人達が片付けをしている。
僕と歩と沙紀は、夕日を眺めていた。



『歩…沙紀…今日はありがとな…その…助けてくれて』



『別にいいって』


『そうだよ!!だってあっちが悪いんじゃん!!』




『そうだな~てか歩と沙紀かっこよかったわ』



『だろ~?俺はかっこいいもん』



『歩少し黙ったら?』




『ひでぇ!!』



僕達の体が夕日色に包みこまれる。
もう終わりなんだと、語っているようだ。
僕は歩と沙紀に言わなくちゃいけない事があった。



『俺…言わなくちゃいけない事がある…』



それは…百合の帰国の事だ。



『ん?』
『なんだ?』



『百合が…もうすぐ帰ってくるんだ』



波の音が聞こえる。
同じ速度でまた戻ってくる。


『え!!??』
『まじ???』



『うん…』



『いつ?』



『今月の27日』



『あと少しじゃん!!』



『あ~だから優、あんな喜んでたんだ?』



『でも分かるだろ?嬉しいの』



『確かに!!嬉しいよね』



『うん…早く会って抱きしめたいなぁ…』


百合…会いたい。