この涙が枯れるまで



『おっしゃ!!泳ぐか!!』



『沙紀も~!!』


沙紀が水着になる。


『優!!見とれんのナシな!!気持ちは分かるけど!!』


『はぁ?』



『何言ってんの!?鈴木君には百合がいるじゃんね』



『俺沙紀でもいいよ?』



『優~!!???』



『嘘嘘!!早く行けって』



『鈴木君泳がないの?』



『俺はまだいいや。荷物見てる。早く行けよ』



『じゃ、沙紀行くぞー』


『わーい!!』



歩と沙紀が元気に海に向かって走っていった。
もし、ここに百合がいたなら、僕達4人は元気に海に走っていたかな。



そして楽しく泳いでたかな。
百合がいるだけで、僕の心は180度回転をするんだ。



でも今の僕は大丈夫。
もう少しで会えるという、希望があるから。


百合に会えるという望みがあるから。
海岸にみんなの笑い声が広がる。



僕はただそれを見ているだけだった。



『ねぇ一人?』


いきなり、誰かが僕に声をかけた。


僕は後ろを振り向いた。
そこには水着をまとった、女の子二人がいた。



『あ?ダチがいる』



『今は一人でしょ?』



女の子達は僕をずっと見つめていた。