この涙が枯れるまで


僕達が目指す海は、
4時間程かかる。

歩は音楽をかけながら、陽気に運転をしていた。



『優~?』



『なに?』


僕は移り変わる景色を眺めていた。


『お前今日元気だな』


『そう?』



『私も思った!!何かいい顔してる』



『そっかな…』



『何か良いことあった?』


僕は歩と沙紀に百合が帰国する日を伝えていなかった。
まだ秘密にしておきかったんだ。
びっくりさせたかったから。


それが余計に嬉しくて、顔に出ていたのかもしれない。



『別に?』



『なんだよ~教えろよ』



『また後でね』



『はいはい』



僕達の無邪気な気持ちを、目の前の海が包んだ。



もう目の前には海が広がっていた。
澄んだ青色の空と、キラキラと反射している海。


それを見た僕の目も、キラキラと反射した。




車を止め、僕達は走り出した。



『海だー!!』


『きれ~!!』



『すげぇ人…』



僕はボソッと呟いた。
目の前にはキレイな海が広がっている。
でも、浜辺には人がたくさん広がっていた。



やっぱり夏休みだから仕方ないか。
僕達は空いている場所にパラソルとシートをひいた。