この涙が枯れるまで



本格的な夏が始まる。
空には入道雲。
たくさんの蝉の声。
そしてワクワクと楽しい気分の僕がいた。
だって今日は海に行く日だからだ。


それと百合との再会まで、一ヶ月を切ったからだ。



楽しみで楽しみで最近寝れないんだ。


考える事は百合の事。
想うのは百合の事。


百合を想う僕は生き生きとしていた。



朝の8時に近付いてくる。
歩が迎えに来る時間だ。
すると僕の家の前からクラクションが鳴る音がした。

僕は窓から外を見て、歩だと確認してから部屋を出た。




『母さん行ってくるわ』



『気を付けて行ってらっしゃい』



僕は元気よく駆け出した。


『おっす、優』



歩が運転座席から顔を出す。


『お~後ろ乗っていい?』



『乗れ乗れ!!』


僕は後部座席に座った。
沙紀は歩の隣の助手席に座っていた。



『おっしゃ!!出発~!!』



『おう!!』
『わーい』


―キィー・・・


歩がいきなりブレーキを踏む。
僕は前に倒れそうになった。



『…お前…俺らを死なすなよ…』



『大丈夫大丈夫!気をとりなおして出発~』



僕達を乗せた車が、
海に向かって走って行った。