この涙が枯れるまで



今日僕に良いことがたくさん起きた。



でも良いことの反面、悪いことも起きるとはまだ僕は知らないんだ。




気が付けば、もう夏休み目前だった。



期末テストの結果は、また五位だった。


そしてバイトの給料も10万を越えていた。
でも僕はそれ以上に嬉しい事が待っている。
それは百合との再会だ。
日が過ぎていくごとに近付いていく百合の誕生日。
僕は嬉しさと緊張が入り混じった変な気持ちでいた。


『優~ちょっと来い』


僕は歩に呼ばれ、歩の方に向かう。
そこには沙紀もいた。



机には観光ガイドブックが開けてあった。



『なんだよ?』



『なぁ夏休み気晴らしに海行かね?』



『は?』



『そんな毎日勉強とバイトじゃつまんねぇだろ?』



『そんな事もねぇよ?』



『…まぁとにかく!!行くんだよ!!』


『誰と?』



『俺と沙紀と優!』



『俺邪魔じゃね?』


『そんな事ないって!!優のためだ!!』



『分かったよ』



確かに最近海に行っていなかった。
いや、全然行っていない。


海を見るのはナナと結ばれたあの日以来だ。