―プツッ─…
虚しく聞こえる、電話の切れた音。
…良かった。ちゃんと言えて。
次第に僕に笑みが溢れる。
久しぶりに話せて嬉しかった。
あの男の事は聞けなかったけど、胸がいっぱいだったんだ。
これで少しは距離縮まったかな?
歩と沙紀には感謝しなきゃ。
あと幸にも。
ありがとう。
~♪
携帯が鳴る。
《新着メール一件》
の文字。
開けてみると、見覚えがあるアドレス。
さっき入力していた百合のアドレスだ。
《電話ありがとう!嬉しかったよ♪》
という内容。
僕は嬉しくて立ち上がった。
確かに見えたんだ。
百合との距離が縮まるのが。
───・・・・
~♪
携帯の目覚ましで起きる。
いつもと同じ朝。
でも僕には違う朝に見えた。
いつもより朝が綺麗に見えたんだ。
僕はいつもより早く学校に行った。
百合に会うために…
百合と話すために…
体育館では朝練をやっている部活があった。
ボールが弾む音。
バスケ部だ。
僕もバスケ部だけど幽霊部員。もちろん歩も。
部活なんてめんどくさかった。
高校生くらい部活なんてやらなくていいと思ったから。
すると体育館に、瞳の姿が見えた。
サラサラのストレートの長い黒髪を、一つに結び、
上手にボールをあやっていた。
瞳は僕に気付き、こっちに向かってきた。


