僕は自分の目を疑った。
目を何度を擦り、もう一度その光景をみた。
その光景は変わる事などなかった。
何故百合が…男の人と。
何かもめてるみたいだ。
僕はそれを見ているしかできなかった。
体が動かなかったんだ。
この光景を横切るように、バスが来た。
僕はバスに乗り、百合達の方へ足を運んだが、もう百合達の姿はどこにもない。
誰だ?
何で?
この二つの疑問が僕の頭の中を埋めつくしたんだ。
『ただいま』
家にはまだ母さんは帰ってきていない。
もちろん父さんも。
『優おかえり~』
奥から出てきたのは、姉の幸だ。
『どうしたの?そんな暗い顔して』
『幸…俺だめだ』
『は?』
僕は一部始終を幸に話したんだ。
自分の中ではもう押さえきれない…
誰かに助けて欲しかったんだ。
『そっか~。でもまだ分かんないじゃない?その…百合ちゃん?の何かもさ』
『うん…』
『連絡先知ってるんでしょ?』
『うん…』
『じゃあ連絡してみなさいよ。それで、聞いてみれば?』
『うん…』
『私大学今休みだから、いつでも話聞くからね?』
と言い残して,幸は自分の部屋へと戻っていった。
僕はポケットの中を探る。
中から出てきたのは、
今日沙紀から教えてもらった百合のアドレス。
ひとつひとつ入力していくと、ある事に気付いた。
《090…852 おまけ》
沙紀が百合の電話番号も書いてくれたんだ。


