瞳から話しかけられてびっくりしたけど、何だか嬉しかった。

好きなのかな?

でもこれは百合を想う好きと全然違っていた。


百合…百合を想えば想うほど僕は幸せな気持ちになる。

新鮮なんだ。


でもクラスに戻ると何か様子が変だったんだ。


一人泣いている百合。

百合を慰める沙紀。

心配そうに見つめる歩。


『歩…どうしたんだよ?』



『優…まぁいろいろ』


『何かあったのか?』


『今は言えないみたいなの』



と沙紀は言うが、そんなはずはない。

明らかに歩と沙紀は何か隠している。


僕に言えない事なのか?




何も分からないまま授業が始まる。


僕は気になって仕方がない。

先生の話など、耳に入らない。



僕は勇気を出して、話しかけてみたんだ。


『百合…どうしたの?』



初めて百合と呼んだ。


百合は涙目でこっちをみて、横に首を振る。


僕には言えない事なの?


僕は百合の力になれないの?


僕は百合と話しちゃいけないの?




今の僕には百合と話す資格なんてないんだ。

もしかして和樹が昔言ってた事はホントなのかもしれない。


《優は小林を傷つけた》

ホントにそうだったら…

ホントにホントだったら…


僕はバカだ。