この涙が枯れるまで


──翌日…
僕はまだ眠たい目を無理やり開けようとした。
でも涙のせいで目がなかなか開かなかった。
洗面所へ行き、顔を洗った。
鏡を見ると目が腫れていた。
昨日泣いたからだ。
僕はそれでも学校に行った。
ナナに会うために。
でも理由はそれだけだったかな。

違う意味もあったんじゃないかな。
僕は自分自身にさえ疑いをもった。

―3年2組。


『優!!おはよ~って何だ!?その目!』




『鈴木君大丈夫?綺麗な二重が台無しだよ?』


歩と沙紀が僕を見て心配をする。


『大丈夫…でも俺…保健室行ってくるわ。冷やしてくる』



『おお…』



僕は教室から逃げた。
まだ教室には百合は居なかったが、何だか居づらい。
居たくなかった。


―ガラガラ…


『あら、鈴木君どうしたの?』



養護の清水先生が言う。僕は二年生の時、頻繁に保健室を利用していたから名前を覚えられていた。


『目が腫れて…』


『どうしたの?』


『事情があって…』


『失恋でもしたのかしら?』


『はぁ…』



『これ使いなさい、暫く貸しといてあげるから』

清水先生は、冷えたタオルを渡してきた。


『ありがとうございます…先生…少し寝てもいいですか?』



僕は立っているだけで限界だった。
心も体も。