『俺…ちゃんとする』
『どっちかに決めるって事?』
『うん…』
『今は優的にどっちなん?』
『今は…ナナ』
『そっか… 優なら決めれるだろ。まだ時間はたっぷりあるから考えろよな』
『悪いな、安里』
『何で優が謝るんだよ、俺が悪かったんだって』
安里は何故僕に励ましてくれたのだろう。
何故僕に勇気を与えてくれたのだろう。
安里は百合と付き合っていたのに。
辛い思いだってしたはずなのに。
何故こんな前向きなのだろう…
そんな安里は男前だった。
僕達はずっとこの時間、話していた。
最近あった事とか。
誰かの噂だとか。
安里と話していたら、少しだけ気が楽になった。
僕も前に進もうと思った。
『じゃあな、優。またなんかあったら言えよ?』
『さんきゅ、安里。助かった。じゃあな』
僕は再び教室に戻った。残りの授業は、少し気が楽になったせいか、あの夢の事は考えなくなった。
でもまた僕に壁が打ち当たる。


