この涙が枯れるまで




僕はバスに乗り、駅へと向かった。
空はもう雪雲で覆われていた。
雪がパラパラとゆっくり降る。
太陽の光が照らさない。そんな空になっていた。まるで今からなる僕の心のように。



冬休みのせいか、駅には、大勢の人で群がっていた。
楽しそうに雪で遊んでいる、子供たち。
賑やかな街。
僕はそんな賑わった街の中、ナナを探した。
ナナはまだ来ていないようだ。

僕はナナを待つことにした。
近くのベンチに座り、ハーと息を吐く。
たちまちその息は白くなる。
改めてもうこんな時期なんだなって思うんだ。
暫くするとナナの姿が見えてきた。
今にも転びそうな足取りで歩いて来る。


『ごめんね?待った?』

鼻を真っ赤にして来たナナ。



『ううん』



『嘘つき。耳真っ赤よ?』



『へへっバレた?ナナを鼻赤いよ?』



『ばか。家すぐ近くだから』



『うん』



僕達は手を繋ぎ歩いて行った。
雪の積もった道を見ると、足跡がいくつもある。



この足跡はナナのかな…と思うと楽しいんだ。
本当にすぐナナのマンションは着いた。

白い塗装のマンション。シンプルな建前でナナっぽい感じがした。


初めて足を踏み入れる、ナナの家。



『おじゃましまーす』



『何にもないけどね、早くストーブの前に行って暖まって? 私温かいものいれるから』




『うん…』



僕は部屋の奥へと進んだ。


ナナの部屋はすごくシンプルで、白でまとめられていた。

ドクン…



緊張してんのかな。



僕の鼓動が騒がしかった。