ナナはそういうと、僕から離れて行った。
僕はナナの向かった先に歩いて行った。
少しずつ、ナナの声が大きくなっていく。
『…お兄ちゃん!?お兄ちゃんでしょ?私、ナナだよ…?』
ナナは必死にその男性の肩を揺する。
ナナの言っている事が正しかったら、今僕の目の前にいる人は、ナナのお兄さん?
確かにナナに似ている。目の部分がそっくりだった。
その男性はただ涙を流すだけで、ナナの言葉は聞こえてないみたいだった。
僕はナナを止めた。
『ナナ??どうした?』
『お兄ちゃん…お兄ちゃんだよ…』
ナナは《お兄ちゃん》と繰り返す。
僕は確かめたんだ。
『ナナのお兄さんですか?』
その男性は、縦に首を振った。
ナナのお兄さんだったんだ。
『まず…えっと…ナナ、家開けれる?』
『うん…』
僕達は一旦、ナナの家に入った。
そして、ナナの家のリビングに行き、話をした。僕はずっとナナの手を握って。


