すると携帯が鳴った。


《着信 和哉》


携帯を見た瞬間、私は鈴から聞いたんだって思った。


『………はい』


『ナナ??!!今どこ??!!』


『ファミレス…』


『どこの???!!!』


ここのファミレスは、和哉と来た事があるファミレスだった。


『前…来たとこ』


『そこ動くなよ!!!』



和哉は電話を切った。


本当なら和哉は学校があるはずなのに。


私のために飛んで来てくれた。


『ナナ!!!』


私は下をずっと向いていた。


『…鈴から聞いたよ』


『…………』


『俺すげぇショックだった』


『…ごめん』


『隠し事する女は好きじゃねぇし、何か騙された気分だし。イラつく』


私はもう終りだと思った。


二人を傷つけてしまった。
私が弱虫だから。


『和哉…ごめんね』


『謝るなら最初からすんじゃねぇって。ウザイ、じゃあな』

和哉は席を立って学校へ戻って行った。



私の初恋は終りを告げた。


少しの間だけだったけど、私は和哉の一番になっていた。

それだけで嬉しい。


でも私は周りを気にして自分の気持ちに嘘をついた。


ただ一言だけ好きって言うだけなのに、そんな勇気もない、小さい人間だった。


和哉…

和哉に出会えた事に損はしていません。

和哉に出会えて、私という小さい人間が、少しだけ成長した気がする。


私は…


私は…

和哉を愛していました。

心から。