和哉との会う約束は叶える事なく過ぎていった。
お互い勉強もバイトも忙しく、会うヒマがなかったから。
でもメールや電話のやりとりは続いていた。
そんなある日、バイトで、私の運命が少しずつ、歯車がずれていった。
鈴からの言葉を聞いて。
『ナナ~!!私先輩のアドゲットしちゃった!』
『嘘~!!すごいじゃん!先輩の名前何て言うの?』
『北川和哉先輩!』
和哉?
私は鈴の言葉が理解できなかった。
私は和哉にメールしていた。
《和哉の名字って何?》
私は和哉の名字を知らなかった。
鈴の言葉の意味の確認のため、私は和哉にメールをした。
すぐに返事が来た。
《北川だよ☆》
ドクン…
鈴と…
同じ人。
鈴は和哉が好きなんだ。
やっと理解が出来た。
そして、もうひとつ理解したこと。
私は…和哉を好きになってはいけない事。
でもそう思う程人間って恋に堕ちていくんだ。
私はもう引き返す事が出来ない所にいた。
もう逃げだす事の出来ない、
暗い
暗い
世界へと
足を踏み出していた。


