この涙が枯れるまで



私と同じなのに、何かが違う。


私はボーっと施設を見ていた。


すると


『何か…見える?』

と私に話かけて来た人。

白髪混じりの髪に、優しそうな笑顔をしていた。


この人が私の母親代わりになってくれた、和田一代先生。


『…いえ…』


『あの子達…私の施設にいてね。両親が居ないのよ。小さい頃からね。でも、この施設に来て私の事、お母さんって呼ぶの。それが可愛くて仕方がないのよ』

と言って私にニコッと笑った。



私も…私もこの施設に入ったら何か変わるかな。


この子供達のように…あんな輝いた笑顔になれるかな。


『…私もなれると思いますか?』


『…どうかしたの?』


『私も両親いないんです』

それを聞いた和田先生が私を施設へと案内してくれた。

そして私の話をじっくり聞いてくれた。


私の心の中にあった重いものが、和田先生によって消されていった。


まるで魔法のように。



『また…何かあったらいつでもいらっしゃい?』


『はい…』


『それと、その今の家が嫌だったりしたら、いつでも施設にいらっしゃい』

『ありがとうございます』


私は施設をゆっくりと出て行った。