この涙が枯れるまで



『こっち来なよ』

グイグイと私の手を引っ張った。

私はそれを必死に止める。


嫌…やめて…私に触らないで…


次の瞬間、私とおじさんの間を裂いた人がいた。


『やめろよ、可哀想だろ?』

『何だ?お前』


『この子めっちゃ嫌がってるだろ?あっち行けよ』

とガンを飛ばす。

おじさんは逃げていった。


この人は誰だろう?


『大丈夫だった?』


『…ありがとう』


『気をつけなよ?』


『はい…』



これが私の初恋相手、和哉の出会いだった。


『てか頭から血出てるよ???!!』


『あっ…大丈夫です…もう止まってるんで』


『ダメだって!!ここで待ってて!!』



和哉が私をベンチに座らせどこかへ行ってしまった。


数分後、和哉が戻って来た。


和哉が買って来たもの

それは


傷薬と包帯だった。


『消毒するから…痛いかもしれんけど…』


『はい…』


和哉は私の頭の傷を消毒してくれた。

包帯までしてくれた。


和哉…


あなたは優しすぎでした。

でも和哉に会えて、私は自分という存在が改めて感じられた。


和哉…



この時和哉に会えてなかったら私は心と体もズタズタでした。