この涙が枯れるまで



私は中学で初めて《いじめ》というものを味わった。


でも私は何も言わなかった。

黙ったまま何もしない。

何か言ったら余計にひどくなりそうだから。


何も言わなかった。


『うわ~このノート誰か配ってよ~』


『嫌だ~うつる~』

いつもと同じいじめ。


私は見ているだけ。


―バサッ…

ノートが落ちる。

私が拾おうとした時、私の手を踏んできた。

『お前さ~何か言えよ!!!』

『…………』

『ウザイんだけど~!!
あっ私いい事知ってるぅ~』

後ろにいた女の子達が興味深々になって聞く。


『お前さ~親二人とも死んだんだってぇ?』


ドクン…


教室が一気に静まる。


『死んだって何~?』

腹を抱えて大声で笑う人の声が耳障りで仕方ない。



ドクン…ドクン


『何かね~死んだらしいよ~』


ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…



私の鼓動が速くなる。


『自殺でもしたんじゃねぇの?』



私はこの一言で周りが見えなくなった。

何かが私の中で崩れ始めた。



『……お父さ…んと…お…母さんの事を…悪く言うんじゃ…ない』


目に涙が溜る。


『あ?聞こえね~』



『お父さんとお母さんの事悪く言うんじゃねぇ!!!!』


私は椅子をそいつらに向かって投げた。


『は?何こいつ!!』

一斉に私に飛びつく。


ある女の子が椅子を私の頭をめがけて殴った。